英国日記

1999年9月13日(第2日目)

ベイカー街 朝早く目が覚める。というより眠れない。これが時差ぼけなんだろうか。ホテルでコンチネンタルの朝食。卵の料理法を聞かれるので、卵焼きにしてもらう。ロンドンの朝はあまり優雅ではない。ゆっくり朝食を取ろうにもコンチネンタルでは食べるものがない。朝食を済ませて、地下鉄のラッセルスクエア駅へ。昨日は迷ったが今日はもう迷わない。昨日の地下鉄は混んでいたので気がつかなかったが、ロングシートに一人分ずつ肘掛けが付いている。これでは隙間に割り込んだり、二人分占領したりということはできない。キングスクロス(Kings Cross)で乗り換えてベイカーストリート(Baker Street)へ。推理小説ファンなら知っているとおり、あのシャーロック・ホームズが住んでいた街だ。下宿だったという建物が、今はシャーロック・ホームズ博物館になっている。入館料5ポンドを払って中に入る。1階がレストラン、2階が展示室、3階が売店になっている。2階は当時の様子が再現されている。質素な造りだ。実在の住所に実在の建物、シャーロック・ホームズはコナン・ドイルの創作の筈なのに、まるで実在していたかのようだ。芳名帳がおいてあるので記念に名前を記す。3階へ上がり、記念にブックマーカーを買う。まわりを一周して、街並みをカメラに納める。次にマダム・タッソーに向かう。吉田茂と千代の富士のろう人形もあるらしい。リアルに出来ているらしいので、見たいのだが入場待ちの行列が出来ているのでやめる。リージェント・パーク沿いに歩き、途中でバスに乗りウエストミンスター(Westminster)へ向かう。旧型の二階建てバスが来る。赤い「ロンドンバス」だ。「ウエストミンスター」と行き先を告げる。運賃はちょうど1ポンド。チケットを貰って2階席へ上がる。2階席は立ち席は禁止になっていて、座席も少し柔らかいプラスチック製だ。これならよろめいて座席にぶつかってもあまり痛くない(だろう)。

Big Ben ビッグベン(Big Ben)が見えてきた。荷物を持って1階へ降りる。ウエストミンスター宮殿の前で下車する。ビッグベンとヴィクトリアタワーがそびえ立つ。近すぎてよく見えないので、テムズ川を渡る。川の水は茶色く濁っている。悪臭はしないが、かなり汚い。12時になった。ビッグベンの鐘の音が鳴り響く。荘厳な音色だ。この鐘の音を聞くと「ロンドンに来た」という感じがする。ホースガード、セント・ジェイムズ・パークを見て、ピカデリーサーカスへ行く。HMVがあったので立ち寄り、1枚CDを買う。サンドイッチ屋でお昼にする。様々なサンドイッチが並んでいる。サンドイッチ発祥の国は種類も豊富だ。サンドイッチとドリンクで簡単な昼食、けれどこれで8ポンド90ペンス(約1700円)もする。日本は物価が高いが、イギリスはもっと高いと感じる。次は歩いて大英博物館へ行く。工事をしていて建物の全体は見えないが、豪壮なファサードは見える。うれしいことに入館料は無料だ。順路に従って見学するが、あまりの収蔵品の多さに、見ていてだんだん疲れてくる。疲れてくると素通りも多くなる。いくらただでもそうそう見える物ではない。それに世界史が判らないと、見ていても時代のつながりが見えない。もう少し予習をしておくべきだったと後悔する。玄関に出てきた。途中とばした所もあるかも知れないが、一通りは廻ったようだ。「維持管理のための寄付を」と書いた募金箱がおいてある。入館料無料だからと思い、5ポンド入れる。ホテルが近いので一旦ホテルに戻って休憩する。

明日の列車の時刻を確認するためにチャリングクロス(Charing Cross)駅へ向かう。途中で大きなカメラ屋を見つけて入る。現像料込みのフィルムと現像料別のフィルムを売っている。フィルムは充分に持ってきているが、ショップブランドの現像料別のフィルムを2本買う。店内を一通り見てから駅へ向かう。本屋があったのでここにも寄ってみる。中古のCDをたくさん売っている。時刻表はないか聞いてみたが、置いてないとの返事。やはり駅まで行かなくてはならない。テムズ川に突き当たったら、右へ行けば駅に行けるはずだ。どんどん進んでいくと川に突き当たる。右へ折れて川沿いの道を行く。公園が造られていて、綺麗に手入れされている。さらに進むとチャリングクロス駅の下に出る。案内標識に従い階段を上って駅へ行く。掲示されている時刻表でドーバー行きの時間を調べる。30分おきに列車はあるようなので明日は時間を気にしなくても良さそうだ。

しばらく駅を観察する。改札口がない。乗る人も降りる人もフリーパスだ。それから、案内の放送が全くない。そのため雑踏していても、うるさくはない。出発の案内は大きな表示盤があるから、各自で確認しろという事らしい。騒音と自己責任に対する考え方の違いだろう。脇道から来たので正面から帰る。ここで一つの事に気がついた。ホームから玄関まで段差が一つもなかった。建築時には、バリアフリー等という考え方はなかったであろうに。道路にも横断歩道橋等という物はなく、人に優しい街だと思う。ぶらぶら歩きながらホテルに戻る。パブが賑わい始めている。歩道にテーブルを並べ、ビール片手に談笑している。酒が飲めない私はそれを横目に通り過ぎる。ここで予定を変更して、夕食を済ませようと、適度に混んでいて高くなさそうな店を探す。ビュッフェスタイルの店を発見、これなら色々な料理に挑戦できそうだ。コーヒーも注文して6ポンド75ペンス、ロンドンの物価では安い方だと思う。色々食べて引き上げる。腹もふくれたし、時差ぼけが残っていて眠い。

ホテルでたばこの自動販売機を発見、イギリスのたばこも吸ってみようと一箱買ってみる。3ポンド90ペンスで市中で売っているのより少し安い。「No Change Given」と表示が出ていないので4ポンド入れてボタンを押す。たばこは出てくる、が釣り銭は出ない。「No Change Given」とは出ていないが、「Change Given」とも出ていない。やられた、釣り銭の出ない機械だ。部屋に戻り開けてみると、16本しか入っていない。市中で買うより安い訳だ。



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