英国日記

1999年9月14日(第3日目)

目が覚める。まだ午前4時くらい。早すぎるのでベッドにまた潜り込む。7時になるのを待って着替えて、朝食に行く。昨日と同じコンチネンタルの朝食。昨日はコーヒーを頼んだので今日は紅茶にする。ロンドンの朝は紅茶で始まる。朝食を済ませてチャリングクロス駅へ向かう。出勤時間のためか、自動車が多い。自転車で走り抜ける人もいる。

切符 駅に着き、出札窓口でドーバー・プライオリー(Dover Priory)駅までの往復切符を求める。往復(Day Return)で19ポンド90ペンス、鉄道は意外に安い。案内表示でドーバー行き列車の出発時間とホームを確認する。途中、4駅くらい停車するので急行列車というところか。私が乗る予定の列車が到着する。一斉にドアが開き降りてくる。ボックス席の各々にドアがある。そのドアが一斉に開くのは壮観だ。馬車の名残か、それとも冬の対策だろうか。車掌がいたので、念のためドーバー行きであることを確認する。手動のドアを開けて車内へ入り、3人掛けの座席を占領する。

架線がないのに、ディーゼルでもないようなので気になっていたが、第三軌条方式になっている。電車は発車してすぐテムズ川を渡る。右手にウォータールー(Waterloo)駅が見える。ユーロスターはここから発車する。ロンドンブリッジ駅で再びテムズ川に近寄る。車窓からロンドンブリッジが見える。電車は東へ走る。ロンドン市内を抜けると、なだらかな丘陵が広がり、所々に集落が見える。時々、小さな駅があり、ロンドン行きのユーロスターとすれ違う。草原には、牛が寝転び、羊が群をなす。ロンドンっ子が田舎暮らしにあこがれるのもわかる。くまのプーさんやピーターラビットの世界だ。(ピーターラビットはイングランド北部なので厳密には違いますが。)トンブリッジ(Tonbridge)、アシュフォード(Ashford)と停車していく。ユーロスターの線路が別れていく。ユーロスターはここから海峡トンネルに入る。間もなくフォークストーン(Folkstone)、ドーバーまであとわずかだ。

静かな海が広がる。海峡沿いに電車は走る。ホワイトクリフ(White Cliff)の白い崖が続く。ドーバーに到着、ロンドンから約2時間の道程。駅で切符を回収されそうになる。記念に欲しいと言うと、×印をつけてくれる。駅前に出る。ホバークラフト乗り場行きのバスは出た後で、誰もいない。次のバスを待つ。運転手にホバークラフトの運賃を尋ねる。往復で10ポンドとの返事、大変安い。おまけに乗り場までのバスは無料になっている。乗り場へ行き、パスポートを見せてチケットを購入する。行きが12時発、帰りが18時発で予約する。帰りの時間は、時差が1時間あるから注意してと言われる。運賃はやはり往復10ポンド、クレジットカードで支払いをする。カード払いが一般的なのか、たかだか10ポンドでも嫌な顔もせず処理してくれる。航空券のようなチケットを受け取り、先へ進む。空港と同じ検査を受けて待合室へ。時間がまだあるのでここで昼食にする。カフェテリアでフィッシュ&チップスとドリンク(5ポンド14ペンス)を注文して空いている席に着く。20cmもあるような白身魚のフライとフライドポテトが山盛りになっている。安くてボリュームがある。

乗船券 乗船時間になり、埠頭に出る。向こうからホバークラフトが来るのが見える。陸まで上がってきて停船、タラップとスロープが掛けられ、乗客と自動車も乗り込む。窓側の席に着く。が、出航してしまえば、海しか見えない。猛烈な水しぶきを上げて進む。1時間でフランスのカレー(Calais)に到着する。下船して他の乗客の後ろをついていく。建物の中を抜けるともうそこはフランスだった。入国審査も何もない。もう一度ターミナルに戻り、カレーの地図をもらう。両替所は昼休みで閉まっている。開くのを待って少しだけフランに両替する。市内行きのバスが来る。近づくと運転手が手を振って通り過ぎる。またバスが来る。今度はドアが開き乗せてもらう。市内まで60ペンス(または6フラン)を払う。バスを降りるときに、ターミナル行きのバスはここで乗ればいいのか、運転手に英語で尋ねる。帰りもここでいいことを確かめて市内見物に行く。もらった地図を出してみるが大雑把すぎてさっぱりわからない。(詳しく書いてあってもフランス語は判りませんが。)隣の建物に入る。案内図が出ている。ここがカレー駅らしい。が、全く駅の雰囲気ではない。3時間くらいしか時間が残っていないので、駅前の通りを進む。歩道にテーブルを並べたカフェや、ブティックなどが並ぶ。イギリスと同じような石造りの建物が並ぶ通りだけど、イギリスのような重厚さがなく、色彩も明るい。ラテンの華やかさがある。通りを行く車もフランス車が多い。フランスの街並みにはフランス車が似合う。PEUGEOT 206のような個性的な車でもしっくりする。Yaris(トヨタ Vitz)ではまだ弱い。結構古い車も走っている。2CVがぱたぱたと音をたてて走り去る。車にエビアンを飲ませている人もいる。

折角だからフランスの料理も食べてみようと思う。ぶらぶら歩きながら、「English Spoken」と札の掛かったカフェに入る。Chiken Legsとコーヒー(52フラン)を注文して、歩道のテーブルにつく。料理が運ばれてくる。鶏もも肉を焼いたものに、フライドポテト(本当のフレンチフライだ。)とフランスパンのスライスが乗っている。想像していたよりシンプルな料理だ。道行く人を眺めながら(眺められながら?)食べる。出がけにトイレを借りる。

カレー駅横のバス乗り場へ戻る。来た道をバスで戻りホバー埠頭へ。売店でたばこを買う。Silk Cutが1カートン200フランだ。イギリスに比べると格段に安い。200カートンも買っていく人もいる。おみやげ用に1カートン購入する。ホバークラフトが到着し、下船が終わる。乗船客が行こうとするのを係員が制止する。どこからともなくタンクローリーが横付けする。給油するらしい。イギリスの意地か、タンクローリーはBPの塗装がされている。ドーバーに到着するまでに日が暮れる。暗闇の中を電車は走る。9時過ぎにチャリングクロス駅に到着する。歩いてホテルに戻ってもいいが、タクシーで戻る。(実は一度、ロンドンタクシーにも乗ってみたかった。)駅前で客待ちしているタクシーにホテルの名前を告げる。私の英語が下手なのか、運転手が場所を知らないのか、(たぶん前者)わからないという顔をする。ホテルの宿泊カードを見せる。運転手がうなずく。ドアを開けて乗り込む。リアシートはかなり広い。前向きに3人、後ろ向きに2人座れる。下手なリムジンより広いかもしれない。広い座席を一人で占領する。15分足らずでホテルの玄関に横付けされる。一旦降りてから料金を支払う。(運転席と客席の間に仕切があって降りないと払えない。)ホテルまで4ポンド20ペンス、そんなに高くない。お釣りもちゃんと渡してくれる。お釣りの中から50ペンスのチップを渡す。

部屋に戻りシャワーを浴びる。明日は早いので、夕食は食べに行かずに(フランスで食べたので)寝ることにする。



Prologue 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 おまけ

©2001 K.Fujino All Rights Reserved.