韓国日記(その2)

2000年9月13日(第3日目)

朝、遅い時間に起きる。今日は雨、それも大雨だ。鍵を返して地下鉄「温泉場駅」に向かう。台風が接近しているからすごい風も吹いている。傘をさしていても濡れる。鉄道でソウルへ向かいながら、途中にある大田の儒城温泉で一泊しようと思う。

切符売り場へ行く。今日も混雑している。大田まで欲しいが、立ち席もひとつ手前の永同までしかないらしい。そのまま乗って、大田で差額を精算してもらえというような事を言っている。仕方ないので、永同までの切符を貰う。金額がよく聞き取れず2万ウォン出す。出札係があわてて「二人か?」と聞き返す。いくらムグンファ号の立ち席とはいえ、8800ウォンは安い。そのかわり3時間の立ちんぼは覚悟しなくちゃ。

改札が開き、ホームへ出る。列車はもう入線している。「スナックカー」を見つけ席を確保する。考える事はみな同じで、発車前に席がふさがる。大田到着は午後2時を過ぎるので弁当を買う。亀浦、密陽とこまめに停車する。乗ってくる客の方が多く、床に新聞を敷いて座っている人も多い。弁当を前に窓の外を見る。ずっと雨が降っている。観光は無理と諦める。

東大邱で12時になった。朝食抜きで来たので弁当を食べようかと思っていると、スナックカーの係員が席に着いていても、弁当を持っていない乗客にどいて貰っている。(弁当を買っておいて良かった!) 早速弁当を開ける。幕の内弁当だ。短冊形の味付け海苔もついている。弁当用として短冊形の海苔を売っているのは知っているが、実際に彼等(韓国人)はどのようにして食べるのか気になる。隣の人は何かと横目でちらっと見る。キムパだった。油揚げ寿司もひとつ入っている。日本でいう助六だね、これは。私の弁当はというと焼肉、焼き魚、野菜ものなどで味付け以外は日本のものと殆ど変わらない。違うといえば、たくあんの代わりにキムチがついているくらい。

食べ終わると一息つく間もなく声がかかる。「ここに座れ」 どこから持ってきたのかプラスチックの椅子を手にしている。弁当殻も取り上げられる。みんなが床に座っているなかで一人椅子に座っているのも気が引けるが、あと1時間半も立っていくのも大変なので椅子に座る。隣でキムパを食べていた人も退去させられる。家族連れが席に着き、弁当を食べ始めた。さっきの海苔が気になり、後ろからそっと観察する。ご飯の上に置き、箸でとって食べている。な−んだ、日本と同じだ!

大田に到着した。まだ雨は降っている。駅前広場は地下鉄工事でなくなっている。少しだけ残った広場に枕木がおいてある。通りすがりに見ると何やら字が書いてある。
(あとで知った話ですが、京義線の連結工事に使う枕木で、メッセージを募集していたようです。)
駅前を抜け、バス停に向かう。途中、焼栗やトウモロコシの屋台が出ていて、秋を感じる。102番のバスで儒城温泉に向かう。3年前に来たことがあるので勝手はわかる。同じ旅館に泊まる。温泉大浴場つきで一泊25000ウォン、宿代も変わっていない。浴場の利用券をもらい部屋に入る。

荷物をおろして一息つく。午後3時、外は雨。「そうだ、風呂に行こう!」 着替えとタオルを持って大浴場へ行く。男湯へ。中におじさんがいる。その前にザルがおいてある。ザルに券を入れて脱衣所へ。3年前と全然変わってない。裸になり、鍵を足首につける。前を隠して浴場へ。日中だというのに、結構入っている。10人くらいはいる。掛け湯をして、浴槽に身を沈める。浴槽の縁を枕に横になる人もいる。足を伸ばす。ひとときの幸福。サウナにも入り、汗を流す。風呂上がりに冷たい物が欲しくなる。売店でサイダーを買って飲む。壁に温泉の由来、泉質、効能などが書いてある。

部屋に戻り、時刻表を眺めながらうとうとする。目が覚めると外はもう暗い。夕食に出かける。初日で味をしめ、近くの焼肉屋へ行く。サムギョッサルだけ注文する。鉄板が運ばれ、コンロに火が入る。すぐに肉も運ばれてくる。ここの鉄板も溝と穴があって、脂が下に落ちるようになっている。焼肉文化の奥の深さを感じる。どんどん焼いて、サンチュで包んで食べる。コチュジャンとにんにくや、ネギの千切り、ナムルも一緒に包んで食べる。大方食べ終わったところで、ご飯を頼む。店のおばさんが、ご飯を鉄板にあけてコチュジャン、ナムル、キムチを入れる。手際よくスッカラクで混ぜる。キムチチャーハンのできあがりだ。肉のダシでおいしい。腹一杯食べて店を出る。いくらになるか聞いて驚く。6000ウォン?ここが安いのか、釜山が高いのかよく解らない。



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