韓国日記(その2)

2000年9月15日(第5日目)

郵便貯金通帳 今日も雨だ。明洞のS銀行に行く。目的はひとつ、貯金だ。遣い残りのウォンがかなりたまっていたので、タンス預金から銀行預金に昇格させようというわけだ。伝票に記入し、窓口で渡す。すぐに処理され、窓口嬢の笑顔と「カムサハムニダ」で送り出される。ここで、変な収集癖が出る。ついでに郵便貯金も作っちゃおう。すぐ近くのソウル中央郵便局に行く。窓口で、「預金口座を作りたい。」と英語で言う。(韓国語でなんと言ったらいいのか?) 渡された口座開設の書類を書く。住所は日本の住所でいいのかと聞くと、韓国の住所だと言う。旅行者なので、韓国の住所はない。窓口嬢、困って誰かに聞きに行く。政府機関だけあって銀行より厳しいようだ。(S銀行は日本の住所で良かった) ベテラン窓口嬢が来る。どうして口座がいるのか聞かれる。答えは簡単、銀行より便利だからだ。住所はホテルでいいと言う。ホテルの住所といったって、名前と場所くらいは覚えているが、住所までは覚えていない。南山洞だったと口ごもる。ホテルの名前から住所を調べてくれた。部屋番号も書き、それが韓国の住所になった。1万ウォンだけ貯金する。

地下鉄で新村へ行く。韓国の名門私大、延世大学の学生街だ。やはり若者が多い。けれども本屋は見あたらない。メインストリートを一往復する。腹が減ってきたので適当な店を探す。昼から焼肉は食べたくないし、これといった店もなく、冷麺屋に入る。ここの息子かそれともアルバイトか、今風の兄ちゃんが注文を聞きに来る。ピビンネンミョンを頼むと、「Too hot.」と言う。辛いことは承知なので、「OK ケンチャナヨ」と返す。入念にかき混ぜる。麺も薬味の野菜も真っ赤になる。食べ終わると、兄ちゃんがソフトクリーム食べるかと言う。この店のお客へのサービスらしい。ピビンネンミョンとソフトクリームの組合せなど考えたことがないし、ちょっと寒いので断る。

再び地下鉄の駅に戻る。ポケットサイズの路線図がおいてあるので貰う。仁川に地下鉄ができたらしい。早速、仁川に向かう。地下鉄は富平駅で乗換だが、一旦仁川駅まで行く。これで京仁線完乗だ。仁川の駅前に出てみるが何もなさそうなのですぐに戻る。富平駅まで戻り、仁川地下鉄に乗り換える。貰った地図では地下鉄はケヤン〜富平〜トンマクとなっているが、ケヤンまでではなく一つ手前のキュルヒョンまでしか開業していないらしい。本当にできたてで、最近の地下鉄らしく、エスカレーターで地下深くおりる。せっかく来たので、ケヤンまで乗り、富平駅を通り過ぎてトンマクまで行く。駅の外に出てみるが、すぐ前に大きな団地があるだけで、その割に人気がない。雨の中、外に出ていても仕方がないので引き返す。ホテルに戻りながらも、温水駅で最近開通した7号線に乗り換える。車両が新しいだけで、特に変わり映えしない。外が見えないので余計につまらない。高速ターミナル駅で3号線に乗り換える。こちらは、漢江を鉄橋で渡る。地下鉄代は全部で3450ウォン。

明洞に戻ってきた。少し早いが夕食にする。タッカルビ屋(鶏のカルビ)があった事を思い出し、店を探す。もちろん、注文はタッカルビ(6000ウォン)。店の名前は「名家春川家」、タッカルビといえば春川という訳。餅も入ってボリュームがある。今日も満腹、満足、満足。明洞駅の地下街でたい焼き(形はトウモロコシで中身はクリーム)を小さくしたような物を売っている。満腹のはずなのに、衝動的に小さい袋の方を買う。1個おまけしてくれる。

ホテルに戻りテレビをつける。ちょうどKBSのBSでオリンピックを放送している。日本の選手団の入場だ。マントのようなものを着けている。カラフルと言えば聞こえはいいが、なんだかちぐはぐな感じがする。韓国の選手団も入場してくる。韓半島を描いた旗が見える。南北同時行進だ。歓声があがる。感動して涙が出てくる。各国の選手が入場し、聖火が灯される。20世紀最後の、そして南半球初のオリンピックだ。サマランチ会長が「アンニョンハシムニカ」と挨拶する。(同時通訳だ。)

ニュースに変わる。台風情報を見る。今夜から明日にかけて南部に上陸するらしい。洛東江が氾濫している。水浸しになったたんぼが映し出される。堤防が決壊したようだ。漢江もあふれそうになっているようだ。一部の橋や川沿いの道路は通行止めになっている。地下鉄で渡った時、水位はかなり高かった。明日、釜山に行けるのか心配になる。気にしつつ、ベッドに入る。



Prologue 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 おまけ

©2001 K.Fujino All Rights Reserved.