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韓国日記(その5)

2005年8月15日(第4日目)

宿の近くでタクシーを拾ってバスターミナルへ向かう。旧バスターミナルを過ぎて市庁の先に新バスターミナルはあった。10分足らずで到着してタクシー代は1900ウォン、宿の主人が言ったとおりだ。襄陽までのチケット(4400ウォン)を買い求める。発車まで時間があるので、ターミナル内の食堂で冷麺の朝食をとる。
バスは江陵市内を抜けると海沿いの国道を走る。時々集落はあるが交通量が少ないので快適な旅だ。注文津の集落で停まるくらいでほとんどの停留所は通過し、1時間ちょっとで襄陽バスターミナルに到着する。ここで五色温泉行きのバスに乗り換えるのだが、ターミナル内には行き先表示がない。外へ出てみると、ターミナル前のバス停から発車するらしい。しばらく待って市内型バスで五色温泉へ。山道を30分くらい走って五色温泉に到着する。

五色薬水五色温泉は温泉街と呼べるほどの規模ではないが、土産物屋が軒を並べ、旅館も数軒あり、一番高いところにグリーンヤードホテルがひときわ高くそびえ立っている。「五色薬水」の案内を頼りに河原に降りる。山の湧き水を想像してきたが、実際にはしみ出る程度なので汲むのに時間がかかりそうだ。柄杓ですくってひと口飲んでみる。鉄分が多いのかものすごくクセがあって、たくさんは飲めない。薬水だから少し飲むだけでも御利益があるのかも知れないが。
次は今日の一番の目的である五色温泉へ。旅館でお風呂は?と聞いてみると、ホテルのサウナへ行くようにと教えられて、割引券までくれる。温泉はホテルが独占しているようだ。坂の上のホテルへ行くと大浴場が別棟で建っている。本来なら入浴料は7000ウォンのところが、さっき貰った割引券のおかげで6000ウォンで入れる。チケット売り場の隣では、束草産と札のついたスルメを山積みにして売っている。早速チケットを買って大浴場へ。虚心庁ほどではないが中はかなり広い。まずは炭酸泉に入ってみる。ここも鉄分が多いのか濁ったお湯(水か?)だ。最初は冷たいが(水風呂だから当然)我慢して入っているとだんだんと温かく感じられるようになってくる。炭酸の泡が体中について、それがプクプクと上がってきて気持ちがいい。炭酸泉を堪能し、汗を流して外に出る。温泉と薬水だけが目的で、雪嶽山に登るつもりは全くないのでバス停に戻る。

バスの時刻を見て驚いた。1時間おきにしかないバスが、運転手の昼飯タイムなのか13時台だけはないのである。1時間以上も待たなくてはならない。帰りのバスの時刻を確認しておかなかったのが失敗だった。こんなことならホテルのサウナでもっとゆっくりしてくれば良かった。バス停の前には雑貨屋が一軒あるだけで他には何もない。こんな所で待っていても時間がつぶしきれないので温泉街へもう一度戻る。土産物屋を覗いてみるとこの地方の特産なのか、石焼ビビンバに使う石鍋や、陶板ならぬ石板を売っている。雪嶽山でそういう石が産出するのか、どの店も山積みにして売っている。川の向こう側へ行ってみると、こちら側は食堂街になっている。山の中なので山菜料理の絵看板が目立つ。あちこちうろうろしているうちに、せっかく温泉で汗を流してきたのに、また汗びっしょりになった。買うつもりのない土産物屋を覗いていても仕方がないので、バス停に戻る。もしかしたら時間より早くバスが来るかも知れない。雑貨屋で冷たい飲み物を買う。喉を潤してちょっと一息つく。雪嶽山に登ってきたのか大きなリュックサックを背負った人たちが数人休んでいる。一息ついて待ちくたびれたところへやっとバスが来る。来た道を戻るだけなのであっという間に襄陽バスターミナルまで戻ってきてしまった。

鏡浦湖ここで江陵行きのバスに乗り換える。来たバスは長距離タイプではなく、市内型のバスだ。空いている国道を淡々と走る。1時間半くらいかかって江陵バスターミナルに到着した。バスターミナル前から鏡浦台方面のバスが出ているのを発見した。時間は既に16時半、とりあえずだめもとで行ってみよう。再び国道を襄陽方面に走り、途中で右にそれる。しばらくすると大きな湖が見えてくる。鏡浦台バス停で下車する。駐車場と土産物屋があるが、閑散としている。チケット売り場も閉まっている。来るのが遅かったか、と後悔しかけたがゲートをよく見ると「本日無料開放」の札が下がっている。光復節のおかげか、係員も休日なのか、昨日の割引きスタンプも不要になった。坂を上って鏡浦台へ。目の前には名前の通り鏡浦湖の静かな湖面が見える。中秋の頃なら湖面どころか杯にも月が映ったかも知れない。湖面を渡る風に吹かれてあまたの宴席が張られたであろうことは想像に難くない。内部には詩文がいくつか掲げられており、朝鮮王朝時代の栄華が偲ばれる。まわりは整備されて小公園になっており、いくつも詩碑が建っている。丸太をくりぬいて作った木のベンチなども置かれている。

バスに乗って市内へ戻る。旅館へ帰るにはまだ早いので、バスターミナルからぶらぶら歩いて帰る。朝、タクシーで通った駅前の通りより一本南の通りを行く。この界隈が江陵の繁華街のようだ。どんどん東へ歩いていくと斗山の工場(日本でも売っている鏡月焼酎の工場)が見えてきた。このまま行っても住宅しかなさそうなので左に折れて駅の方へ行く。途中で夕食を食べて旅館に帰る。何事もなく無事に過ぎた8月15日だった。



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2009-1-13 作成
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