韓国日記(その5)
2005年8月16日(第5日目)
今日も敢えて鉄道で長距離移動をする。午前9時発のセマウル号に乗りたいので8時前に旅館を出る。まずは駅へ行ってソウル清凉里駅までのチケットを買う。セマウル号1112列車、清凉里着は15時20分で運賃は29900ウォン。バスなら3時間ちょっとで半額以下の運賃だから鉄道はバスのライバルたり得ていない。市外バスターミナルが駅のそばから市街地へ移転したのも当然といえば当然かも知れない。チケットが買えたので駅前の食堂でのんびりとビビンバ(4000ウォン)の朝ご飯。お昼ご飯は車内販売があることを期待して(ムグンファ号でもちゃんとあったのだから)缶コーヒーとミネラルウォーターだけを駅の売店で買う。定刻10分前、改札が始まる。乗客は数人しかいない。この中にソウルまで行く客はいないだろうな。だから鉄道利用者の観光施設割引きキャンペーンなんだ。
列車は日本海沿いを走る。一昨日と同じきれいな海と砂浜、そしてフェンス。改めて日本が平和であることを有難く感じる。柵の外で泳いでいて、今は開いているからいいけれども、もし閉まってしまったら、陸側に戻れなくなったら...
そんなことを考えるうちに心地よい列車の振動で眠ってしまったらしい。気がつくと既に太白山脈の山の中を走っている。お昼が近いので車内販売が弁当を売りに来る。5000ウォンの弁当(一種類しかないが)を買い求める。途中の駅でできたての弁当を積み込んだのか、まだご飯が温かい。白いご飯におかずがついて、日本で言うところの幕の内弁当である。おかずは煮物、焼物、揚物など焼肉も焼魚もついて全部で12品くらい。焼肉にちゃんとキムチが付いているのが韓国らしい。
腹がふくれれば眠たくなるのは当然の結果で、気がつくと清凉里まであと1時間ほどの所まで来ている。これはやはり客車列車のいいところで、レールの単調な振動だけで、エンジンやモーターの余分な振動がないのでよく眠れる(?)のではないかと思う。また居眠りを繰り返しつつ、清涼里駅に定刻通り到着する。弁当を食べていたか眠っていたかの6時間だった。地下鉄に乗り換えて明洞へ出る。宿はいつもの鶏林荘にあたってみる。予約はしてないがちょうど空室があって、ここに落ち着く。旅館の兄ちゃんに「板門店に行ってみたい」と言うと、あちこち旅行社に電話をかけてくれたがどこも一杯のようだ。時期的に日本からの旅行者が多くなるのだから仕方がない。板門店はまたの機会にとっておこう。仁寺洞へ出かけようと支度をしていると、兄ちゃんが板門店ツアーのパンフレットを部屋まで届けてくれた。近くのホテルまでもらいに行ってくれたようだ。些細なことだが、こういう所が非常に韓国的だと思う。
パンフレットを有難く頂戴して仁寺洞へ出かける。清渓川はまだ工事中で埃っぽい。高架道路を撤去して河川を復活させるというのは素晴らしいと思う。渋滞が増えるなど弊害はあるだろうが、たとえ人工的な河川であっても都心のオアシスになると思う。古銭屋を覗いて韓国の記念硬貨を何枚か買う。普段素通りしていた工芸品店も覗いてみる。青磁の壷や螺鈿のタンスなど買っても持って帰れないので、今までずっと素通りしてきた。しかし青磁の淡い色合いはとても上品だし、螺鈿細工のタンスは好みの問題はあるがやはり素晴らしい。値段も素晴らしく、高名な作家のものだと壷もタンスもゆうに1000万ウォンを超えてしまう。仁寺洞をぶらついたあと、明洞で夕食を食べて旅館へ帰る。
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2009-1-13 作成
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