中国日記(その1)
2001年9月15日(第8日目)
6時前に、目が覚める。あちこちで朝の支度が始まっている。Sさんも起き出してくるが、よく眠れなかったらしい。私はどこでも寝られるので、充分眠れたけど。服務員がまわってきて、ポットを回収していく。車掌もまわってきて、座席札と切符を交換する。窓の外は、住宅が多くなり、瀋陽市内に入ったようだ。間もなく瀋陽北駅に到着する。乗客は大半が降りてしまい、列車はがらがらになる。5分くらい走って、瀋陽駅に到着する。改札口を抜けて、駅前広場に出ると、まだ7時前だというのに賑わっている。荷物の見張りをしながら、交代で有料トイレに行く。2角払って紙を貰おうとすると、紙代をさらに2角徴収される。個室に入ろうとするが、再び扉のないトイレだ。囲いがあるだけで、扉がないので丸見えになる。溝だけのトイレなので、足下を他人の分身が通っていく。ちょっと抵抗があるが、生理現象には勝てないのでやむを得ない。おしりを出しているのは、自分だけじゃないと納得させて用をすませる。あとでSさんに聞いてみると、女性用も同じ作りらしい。
駅前からバスに乗って、北方航空の事務所へ向かう。バスには、おばさん車掌が乗っている。車掌かばんを首から下げて乗客一人一人から運賃を徴収している。なんだか懐かしい情景だ。駅前の目抜き通りを少し走って下車する。ここから、空港行きのバスが出るので、乗り換える。瀋陽市内を抜けて、高速道路を走り、一路空港を目指す。道路はすいており、バスは快調に走る。(抜かれてばかりだが)一時間ほどで、空港に到着する。チェックインを済ませて、3階の食堂へ行く。一人20元払って、朝食を食べる。ビュフェスタイルで、好きなものが食べられるようになっている。おかゆとチャーハンと(朝からチャーハン?)ハムと卵焼きと、いろいろお皿に取って席に着く。卵は調理人がいて、すぐその場で焼いてくれる。
朝食を済ませて、出発ロビーへ行く。待合室に入り、搭乗時間を待っていると、平壌からの飛行機が到着した。降りてきた人たちが搭乗ゲートの向こう側を通り過ぎて行く。空港係員が急いで、通路の扉を閉める。こちら側にはソウルへ向かう韓国の人たち、向こう側は平壌から来た朝鮮の人たち。両者の間を遮る閉ざされた扉、これが南北の現実なんだろうか。
一時間ちょっとのフライトで仁川空港まで帰ってきた。乗り継ぎ便まで時間がかなりある。かと言って、ソウル市内まで行けるほどの余裕はない。入国手続きをして、空港内で時間をつぶす。地下に降りてみる。銀行にアイスクリームショップ、美容室からボウリング場まである。誰がここまでボウリングをやりに来るのか疑問だけれど。
あちこち売店を覗いているうちに5時になった。再度チェックインをして、出発ロビーに出る。空港利用料免除の証明書も貰ってある。免税売店でたばこを買っておく。日本製たばこも日本国内で免税価格で買うよりも安くなっている。定刻通り搭乗が始まり、1時間半のフライトで名古屋空港へ到着する。延吉を出発してから約30時間、長い道中は終わった。
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